2013年11月07日

第1回:原価って何?

第1回は会計の永遠のテーマである原価のお話です。原価には一家言を持った方が多く、下手なことをいうとお叱りを受ける恐れもありますが、皆さんはこんなことを悩んでいませんか?

第1回:原価って何?

原価って普通にいうけどどんな意味で使っているんだろう。昔とは異なる原価概念があるんだろうか。会計学者の人たちは「原価計算基準」は既に死文化しているといいながら、一生懸命引用している。ERPが普及して、従来と異なる原価計算が行われている。これはどうなんだろうということを考えてみたい。

最初に原価の意味なんだけど、原価は普通何のために把握するのかっていうと財務報告目的のようなことを多くの人がいう。しかし、財務報告だけでは事業は発展しない。つまり、事業に直結した目的である、価格設定目的が中心になるべきだろう。原価は製品をいくらで売ればよいかを見積もるツールとして重要だ。グローバル化して原価が見えないというのは、いくらで売ったらよいかわからないということになる。原価を価格設定目的に限定した場合、グローバル原価を把握するにはいくつかの方法がある。一つは、BOM(部品表)とか、Recipe(配合表)を積上げて見積もる方法だ。いかし、これは、あくまで標準であって実際の原価ではない。そうすると、原価差額を全製品に振り分ければよいという話が出てくる。これは最終的には原価差額ゼロの世界なので、実際原価計算かな?しかし、これでは個々の製品原価の信憑性が薄い。それじゃあ、連結財務諸表をブレークダウンしてはどうか。現在は要請されていない製造原価報告書を連結ベースで品目別に作ったらどうか。これはまた、連結財務諸表作成時のデータの集め方、未実現利益消去の方法などの考え方では実務ベースでは使えない。単純に製造会社の原価データを製品別に集めたらどうか。原価を見積もり提示の道具という意味では使えるかもしれない。

しかし、問題なのは、売上原価部分と在庫部分の按分だ。売上原価部分を把握するには、最終的にグループ外への販売した会社のデータによらなければならない。

ここで問題になるのはやはり原価である。製造会社が100円で作ったとすると20円の内部利益を乗せるとすると販売会社は、120円の内部仕入を計上する。だから、20円の内部利益を除いて100円ならばよい。しかし、100円が原価であるとするのは早計だろう。なぜなら、国際分業がなされていて、生産国と販売国が異なる場合は、輸出手続を行わなければならない。そう、輸出諸掛である。輸出諸掛は、原価に含めなければならないのだ。輸出諸掛には、関税、輸出運賃、乙仲手数料等をいう。

ここで、もう一度、原価とは何かにもどろう。原価には実際原価と標準原価、全部原価と直接原価などの分類があるが、一時もてはやされた標準原価計算がなぜ、あまり信用されなくなったのだろうか~考えてみよう。それは、多品種、多仕様、少量生産に移行して、標準原価改訂が頻繁になされなくなって、原価差額が多額に発生することになったこと、つまり、マスカスタマイゼーションの動きとかさなる。さらに、原価要素の変化にも原因がある。設備費の問題だ。会計に携わるものは、やたら直接作業時間にもとづく操業度を求めたがる。しかし、機械化されたラインは人が少ないので、直接作業時間をベースに製造間接費を配賦すると、人手の多くかかる工程ほど多くの製造間接費が配賦される。また、機械の段取り工数などは、直接作業時間には入らず、製造間接費となる。この弊害を取り除こうと提唱されたのが四要素原価計算である。標準原価計算の信頼性はJIT(Just-in-time)方式のほうが、原価管理の手段として優れているということで急速に力を失いつつある。JITであれば、工程改善の中ですぐに改善されるものを、原価計算を締めた後、原価差額分析してからでないと対策が取れない。
posted by 井上会計士 at 19:25 | Comment(0) | 記事